鳶崩れ −常願寺川上流立山カルデラ−
 
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「常願寺川上流立山カルデラにある鳶(とんび)崩れである。1858年4月9日(安政五年二月二十六日)の飛越地震によりカルデラ稜線にある鳶山の北斜面が大きく崩壊した。崩壊土砂は湯川を塞き止め天然ダムを形成した。また、約3km下流の真川合流点付近でも真川を塞き止め天然ダムを形成したと考えられている。天然ダムには徐々に水が湛えられ、14日後、ついに水の圧力に耐えきれなくなり決壊した。巨大な土石流、洪水流が常願寺川を流れ下り富山平野を襲った。また、59日後にも再度決壊し、被害を生じた。鳶崩れの麓に広がる平坦地は多岐原(だしはら、またはだしわら)と呼ばれており、厚い崩壊土砂が堆積している。

「鳶は富士山大沢崩れとも、静岡大谷崩れともまた様子がちがう。憚らずにいうなら、見た一瞬に、これが崩壊というものの本源の姿かな、と動じたほど圧迫感があった。むろん崩れである以上、そして山である以上、崩壊物は低いほうへ崩れ落ちるという一定の法則はありながら、その崩れぶりが無体というか乱脈というか、なにかこう、土石は得手勝手にめいめい好きな方向へあばれだしたのではなかったか − 私の目はそう見た。」  (幸田 文「崩れ」講談社文庫)

  
位置図 国土地理院
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関連サイト 立山カルデラ砂防博物館
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空中写真:国土画像情報(カラー空中写真) 国土交通省
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